表題番号:2007B-099 日付:2008/11/17
研究課題線形・非線形振動分光法による有機半導体/絶縁体界面の分子構造に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 古川 行夫
(連携研究者) 理工学術院 客員講師(専任扱い) 細井宜伸
研究成果概要
有機電界効果トランジスタのn型有機半導体として期待されているN,N'-bis(octyl)perylene-3,4,9,10-tetracarboxylic diimine (PTCDI-C8)をSiO2/n-Si基板上に蒸着法により薄膜を作製し,赤外透過吸収スペクトルと振動和周波発生スペクトルを測定した.C=O伸縮振動に注目すると,赤外スペクトルでは,1657 cm-1バンドが強く,1701 cm-1バンドが弱く観測された.一方,振動和周波発生スペクトルでは,1660 cm-1バンドが弱く,1701 cm-1バンドが強く観測された.赤外スペクトルでは,PTCDI-C8の薄膜全体の平均的な配向を反映しており,観測されたバンドの帰属,遷移モーメントベクトルの方向から,PTCDI-C8分子は,PTCDI平面が基板に対して,立っている配向をとっていることがわかる.振動和周波発生スペクトルでは,SiO2基板表面から1分子層程度の領域の配向が反映されていると考えられる.振動和周波発生スペクトルでは異なるスペクトルパターンが観測されており配向の違いがある可能性がある.今後,スペクトルの解析を行ってゆく予定である.また,p型有機半導体として期待されているペンタセンや銅フタロシアニン薄膜のラマンスペクトルから分子配向に関する知見を得た.