表題番号:2007B-096 日付:2008/03/24
研究課題環境負荷および資源低減を視点とした再生骨材の活用に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 関 博
研究成果概要
 21世紀は環境問題が大きな課題である。近代社会の技術の革新が人間社会に対して大きな寄与をなしてきたことは事実であるが、一方では地球環境への負荷も自然が浄化する限界を超えている。現代は大量生産・大量消費・大量廃棄の時代から適正生産・適正消費・リサイクルが要望されている。社会基盤整備に費やされる資源がわが国で消費される資源全量に占める割合は大きく、その抑制に関して我々の果たすべき役割は極めて大きいといえる。一方、高度成長期前後に整備された社会資本はすでに40~50年を経過し老朽化が顕著となっている。今後既存施設の改修や撤去が増加すると予想されるが、資源省力化の観点からも撤去資材の有効活用が望まれるところである。コンクリート用への再生材の活用はとりもなおさず、循環型社会の構築に合致し地球の省資源をもたらし、さらに、資源採取に伴う環境負荷低減に大きな貢献をなすものと考えられる。
 今回はこの課題の先駆的部分を占めるもので、次に関して実験及び試算を試みることとした。すなわち、①再生骨材を用いたコンクリートの電気泳動に関する実験により部材の寿命推定を実施すること、②再生骨材の利用における供用年数を考慮した建設より廃棄にいたるLCCO2やLCR を算定することである。将来的な再生骨材の使用対象としてRC部材を念頭におき、再生骨材は加熱方式に製造されたものを用いた。
 ①に関しては、塩害を対象として劣化予測に必要なコンクリートの塩化物イオン拡散係数を電気泳動による促進実験によりが求めた。実験で得られた拡散係数を利用し、塩害環境下にあるRC桟橋を対象として、外部から浸透してくる塩化物イオンにより鉄筋の腐食が開始するまでの時間を算定した。その結果、骨材の違いによる拡散係数の若干の差が劣化予測に及ぼす影響は今回の実験範囲ではほとんど認められなかった。
 ②に関しては、RC桟橋の材料製造,建設と解体撤去時に排出されるCO2、SOx、NOx、ばいじんの排出量原単位を用いて、インベントリ分析とLIMEによる統合化評価を行なった。LCMの評価では、骨材の違いによる環境負荷に有意な差は認められなかった。
 今回は再生骨材の種類、コンクリートの配合などが限定されており、今後要因をさらに拡張して所期の目的のために実験を継続する予定である。