表題番号:2007B-095 日付:2008/03/17
研究課題可積分系理論による可解な非可積分系の探索と応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 高橋 大輔
研究成果概要
 非可積分系のうち可解なタイプは解の表現が非常に重要となる.そこで,超離散ソリトン系に焦点を当て,行列式形式に対応する超離散ソリトン解の表現を求めた.行列式の符号を取り除いたパーマネントの超離散化を用いると,KdV方程式の超離散化実現である箱玉系のNソリトン解が得られる.この解が従来の摂動形式の解と等価であること,および解が解であることの直接的証明を行った.さらに,超離散戸田方程式のNソリトン解も同様の形式で記述できることを示した.
 さらに,これらの解が満たすべき超離散パーマネントの恒等式の探索も試みた.すると,行列式のラプラス展開公式に相当するような超離散パーマネントの恒等式が存在することが判明した.しかしながら,タウ関数の理論に現れるような恒等式を用いて解の直接的証明にたどり着くことはできなかった.
 また,これらの解の表現を用いて,超離散可解カオス系など非可積分系への応用を試みたが,本研究では成功に至らなかった.ただし,超離散パーマネントは今までの力学系理論で登場しない非常に重要な形式である.したがって,その形式が従う代数公式を発掘することにより非常に新規な力学系理論が得られることが予想され,将来への重要な課題となる.