表題番号:2007B-093 日付:2008/03/26
研究課題新規な有機無機ハイブリッド酸塩基触媒に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 松方 正彦
研究成果概要
 シリカメソ多孔体であるMCM-41を合成し,次にカルボン酸を末端に有するシランカップリング剤(Triethoxysilylpropylmaleamic acid, Gelest社)のエトキシ基(-OC2H5)とメソ多孔体細孔表面のシラノール基(Si-OH)とで脱水縮合を行い表面修飾し,さらに表面修飾したカップリング剤の末端のカルボキシル基(-COOH)とスルファミン酸(H2NSO3H)でアミド結合(-CONH-)を形成させ,スルファミド酸を固定することを試みた.合成した物質のキャラクタリゼーションを行ったところ,XRDと窒素吸着により, 2d-hexagonal構造をもつMCM-41が合成されていることが確認され,さらに表面修飾・スルファミド化してもメソ孔構造が保たれていることが示された.また, 29Si CPMAS NMRよりT1,T2,T3サイトのピークが確認でき,メソ多孔体表面のSi-OH基とカップリング剤が持つエトキシ基による脱水縮合を経て,カップリング剤が細孔表面シに固定化されていることが確認された.13C MAS NMRより,表面修飾されたシランカップリ
ング剤は, その構造が壊れることなくメソ多孔体表面に修飾されていることが示唆された.さらにIRスペクトルの結果より,スルホン酸基由来のスペクトルの吸収を示した為,スルファミド酸の生成を確認した.
 問題となったのは第一に,用いたシランカップリング剤が非常に特殊で高価な為,合成の一般化が困難な点,第二に,スルファミド化前後でMCM-41の比表面積が1000m2 g-1から300m2 g-1まで減少してしまった点であった.これは,弱塩基性の脱水縮合剤と,固定化されたスルファミド酸とで塩が形成されたためであると考えられた.これらの問題点を解決するために,安価で入手しやすく,末端にアミノ基を有するシランカップリング剤である3-aminopropyltriethoxysilaneを用いてメソ多孔体の表面修飾を行い,コハク酸のようなジカルボン酸を介して,スルファミン酸を脱水縮合させることでスルファミド酸合成を検討したところ,スルファミド酸を定量的に導入することができることを見出した。