表題番号:2007B-087 日付:2008/03/07
研究課題生体内で生成する活性酸素種の新規測定法の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 酒井 清孝
研究成果概要
透析治療時の血中活性酸素種(Reactive Oxygen Species : ROS)産生亢進によって引き起こされる酸化ストレスが、動脈硬化や透析アミロイドーシスなどの透析合併症を引き起こす原因と考えられている。本研究では、ROSの中で一酸化窒素(NO)およびスーパーオキシド(O2-)に着目し、高感度測定が可能な化学発光測定法と、血中の血漿タンパク質などの夾雑物質が測定に及ぼす影響を低減する膜分離法を組み合わせることで、リアルタイムで高精度かつ簡便にモニタリング可能なデバイスの創製を目指す。
中空糸透析膜により試料溶液中のROSを分離し、化学発光物質と反応させることで発生する光を、光ファイバを介して検出するマイクロモジュールデバイスを作製した。作製したデバイスに化学発光物質2-methyl-6-p-methoxyphenylethynyl-imidazopyrazinone(MPEC)を流し、ヒポキサンチン(Hypoxanthine:HX)-キサンチンオキシダーゼ(Xanthineoxidase:XOD)の酵素反応で生成したO2-を検出した。HX濃度を変えて検討したところ、発光強度とHX濃度の間に一次の相関関係(R2 = 0.998)が得られた。また、血液中で発生したO2-に関しても、本デバイスにより検出できた。さらに、作製したデバイスに化学発光物質ルミノールを流し、NOドナーから生じたNOを検出した。NOドナー量を変えて検討したところ、発光強度とNOドナー量の間に一次の相関関係(R2 = 0.986)が得られた。また、血液中で発生させた数十 mM濃度のNOに関しても、本デバイスで検出できた。作製したマイクロモジュールデバイスを用いると、血中のO2-およびNO濃度をリアルタイムで高精度かつ簡便に測定できる。