表題番号:2007B-077 日付:2008/03/25
研究課題マーケティングと研究開発部門の連携に関する実証研究-日英企業の比較分析を中心に-
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 教授 木村 達也
研究成果概要
本研究は、企業が市場で成長して行くための最も重要な要因の一つである製品開発と市場導入の巧拙を、英国の企業の製品開発におけるマーケティングと研究開発の連携・統合の度合いを調査結果をもとに検討することを目的としている。とりわけ技術シーズと市場ニーズの統合の必要性の観点から、両部門の現状と問題点を明らかにし、組織横断的な連携をどう実現するかに関して考察を行う。Souder (1988)が行った米国企業を対象とした調査結果と木村(2006)が実施した日本企業を対象とした調査結果から企業内の2部門の連携強度と製品の導入成功度合を見てみると、どちらの国においても連携度が強いほど成功確率が高く、連携上に問題が多ければ製品導入の不成功率も高いことが分かる。その関係は、統計的には日米のどちらにおいても99.9%の信頼区間で有意であることが示されている。日本企業を対象にした調査では、両部門の連携度が強い企業においてその9割が製品の市場導入に十分成功していると回答している。一方で、同じグループ(連携度強)で成功していない(成功小)と回答したところはなく、また連携がうまくいっていないと認識されている企業(連携度小)において十分な成功が収められている(成功大)と回答した企業も見られなかった。米国企業と比較する限り、日本での調査結果からは我が国の両部門連携と製品の市場導入の成功の関係は、米国と比較してより強固であることが示されている。一方で欧州企業には日米企業とは異なった傾向があることが予想される。そのため今回は英国企業を研究対象とし、その結果をもとに行う日米英の国際比較研究である。現在、実証データ収集のため、UK Trade & Investment(英国貿易投資庁)ヨークシャー州リージョンオフィスとの打合せ、調整を開始している。今後は現地企業のリストをもとに調査対象企業をリストアップし、まず両者で数社を対象にしたパイロット・インタビューを実施、その後、製造業を中心に約300社に対して質問紙をもとにしたサーベイを行い、データの分析結果をSoulder (1988)および木村(2006)と比較する予定である。