表題番号:2007B-042 日付:2008/03/22
研究課題チャメレコン川上流域における考古学的研究―南東マヤ地域史再構成への試論―
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 准教授 寺崎 秀一郎
研究成果概要
 本研究課題では、昨年度から継続し、チャメレコン川、および同水系における都市形成に多大な影響を及ぼした南東マヤ地域最大の都市コパン遺跡における調査研究を中心におこなったが、これは先スペイン期における当研究課題対象地域発展の背景についての総合的理解の一端を担うと考えられる。
 現地調査は2007年8月11日~9月10日(往復のための移動日含)の期間実施した。調査対象は、コパン遺跡中心グループとラス・セプルトゥーラス地区の中間に位置し、中心グループ北端から約150メートルにある9L22,23グループという建造物複合である。同グループは、現在、Grupo Residencial Norteと呼ばれているが、すでに一部は、保存修復が完了しており、残りの地点も修復を前提とした調査体制をもって対応している。本調査期間中は保存修復を中心に進める一方で、特殊埋納遺構についてもその存在を確認している。
本年度の調査は、2007年7月に早稲田大学文学学術院とホンジュラス国立人類学研究所との間で締結された共同調査保存プロジェクトの一部でもあり、将来的な本研究課題の遂行も含め、同研究所所長ダリオ・エウラケ博士、同研究所文化財局局長エバ・マルティネス氏らとの会合の機会を設けた。また、グアテマラのティカル・ナショナル・プロジェクトの視察をおこない、国立ティカル遺跡公園責任者ホセ・ロドルフォ・サンチェス・モラレス氏、および、神殿IVの調査担当者フランシスコ・カスタニェダ氏と面会し、マヤ地域における文化遺産/文化資源の活用の現状について意見交換をおこなった。
 さらに、2007年11月には、ホンジュラス国立人類学研究所所長ダリオ・エウラケ博士の来日に合わせ、文学学術院において学部学生・大学院生を対象とした同博士による講演を開催した。