表題番号:2007B-030 日付:2008/11/17
研究課題西洋社会におけるエリート支配と政治・文化システム形成に関する比較史的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 教授 森原 隆
研究成果概要
西洋社会におけるエリート支配の諸相を、研究分担者が、それぞれの研究分担課題について、史料文献
の収集と研究史の把握に努め、研究会での報告や議論をとおして、研究課題の再検討を行なった。森原は、
研究全体を総括し、個別には、近世フランスのジャーナリズム・エリートの分析を行なった。前田は、
古代メソポタミアの家産制のもつ階層構造の分析を、小林は、帝政ローマの社会的エリートの分析をす
すめた。井内は、中世ポーランドの騎士層と都市の関係、松園は、18ー19世紀イギリスの貴族層、大内は、
第2帝政期ドイツの政治的・社会的エリート、村井は、近代北欧のエリート、竹本は、アメリカ合衆国の黒
人エリートに関する考察をそれぞれ深めた。具体的には、井内編『ヨーロッパ史のなかのエリート』 
太陽出版 406ページ 2007年3月刊行、の合評会を2007年6月に開催し、ヨーロッパ社会におけるエリート
支配の実態とそのさまざまな展開を、個々の論文の考察・分析をとおして検討した。2007年7月にも研究会
を開催し、個々の報告の質疑・応答をとおして、それぞれの時代におけるエリート層の実態を論議した。
さらに2007年12月にも研究分担者を中心に、「岐路に立つキリスト教会ー中・近世ヨーロッパにおける
「改革」運動の諸相ー]というシンポジウムを共催し、ヨーロッパ中・近世史における階層分化やエリート
支配の問題を検討した。総体として、まだ纏まった研究成果は出していないが、その予備作業としての研究
分析や研究の方向付けを全体で行ない、今後の研究計画に関する議論を重ねた。今後は「ヨーロッパ社会に
おける支配層と政治文化形成に関する比較史的研究」というテーマに変更・修正し、継続してヨーロッパ社
会における支配層の問題を政治・文化を中心に検討し、共同研究としてのシンポジウムを開催し、共同研究
書の刊行をすすめてゆく予定である。