表題番号:2007B-024 日付:2008/03/24
研究課題道教の経典伝授の儀礼の体系的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 教授 小林 正美
研究成果概要
2007年7月に論文「唐代道教における大洞三景弟子と大洞法師の法位の形成」を『東方学』第百十五輯(東方学会)に寄稿した。論文は2008年1月31日に公刊された。論文の内容は、南朝の上清派の道士の法位であった大洞三景弟子と大洞法師が唐代の天師道の道士の法位として用いられるに至る歴史的経緯を、上清経の伝授儀を通じて解明したものである。本論文は道教経典の伝授儀礼の研究の一環として作成されたものである。
 論文提出後には、霊宝経、『三皇経』、『老子道徳経』、正一経等の伝授儀について考察した。霊宝経の伝授儀としては陸修静『太上洞玄霊宝授度儀』、『三皇経』については敦煌資料の『陶公伝授儀』や道蔵本『太上洞神三皇儀』、太玄部の伝授儀としては『伝授経戒儀注訣』、正一経については『正一法文』等の資料を詳しく分析した。この研究成果に基づいて天師道の伝授儀に関する論文を作成し、発表する予定である。
 伝授儀の研究と平行して、南朝天師道の墓券の研究を行なった。これまでに、南朝天師道の墓券と言われるものが15件ほど発掘されているが、今回はこれらの墓券の思想を分析し、その思想的特徴を考察した。この研究成果の一部は今年の秋の学会で発表し、論文にまとめる予定である。
 2008年3月27日より4月4日まで福建省の福州、甫田、泉州の地域にある道観、寺院、摩尼寺、マソ廟あるいは摩崖石刻や博物館の文物、特に福州では鼓山湧泉寺と摩崖石刻、華林寺、開元寺、甫田の元妙観三清殿、広化寺、ビ州島のマソ廟、泉州清源山の老君岩、九日山摩崖石刻、元妙観(天慶観)、開元寺、承天寺、清浄寺、晋江草庵の摩尼寺、及び泉州市海外交通史博物館の摩尼教の石刻を中心に調査する。