表題番号:2007B-010 日付:2008/03/10
研究課題NPMと公務員倫理の関係について-問題認識と対応状況を中心とした実証研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 教授 山田 治徳
研究成果概要
本研究は、NPMと公務員倫理の関係について検証を行うため、地方自治体における問題認識状況と実際の対応状況について実証的に分析を行うものである。地方自治体の多くは、市場原理や民間企業の経営手法を応用することで、経済的観点に基づいた事務事業の効率化などを進めている。しかし、その一方で、自治体にとっては古くからの課題の一つである汚職や職員不祥事など倫理面の問題については、あまり際立った改善はみられていない。むしろNPM型改革により、これまで行政においては公益に対峙するものとして位置づけられていた私的利益の追求が、市場原理に基づきインセンティブとして公認されることで、こうした公務員倫理の現状に対し、更に好ましからざる影響が及ぼされることも考えられる。
 このような問題認識を踏まえ、今般の研究については、調査期間等の制約から本格調査のためのパイロット・スタディとしての位置づけを行い、地方自治体および地方自治体職員を対象にNPM型改革下における公務員倫理についての認識や具体的な対応状況等について、訪問聞き取り調査を行った。その結果、NPM型改革への対応に比し、倫理面への対応についての消極性が明らかになるとともに、NPMと倫理の関連性についても認識を有しているところは非常に稀であることが明らかになった。とりわけ倫理面に対する認識については、現状認識さえもさほど深刻ではなく、少なくとも現状においては、実証的にこの問題を分析することの困難さが顕在化する結果となった。