表題番号:2007A-941 日付:2008/02/16
研究課題電磁界数値解析ならびに電力潮流解析に基づいた電動車両の性能向上に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院環境・エネルギー研究科 准教授 紙屋 雄史
研究成果概要
本研究は,電動車両の開発ならびに性能向上を目指したものであり,近年の計算機の発達によって実用化されつつある電磁界数値解析技術ならびに電力潮流解析技術を性能向上ツールとして適用していることが特長といえる。これを用いることで得ることの出来た詳細な情報をもとに,機器の特性改善のための形状最適化等を図り,高性能電動車両等の開発に成功した。成果を以下にまとめる。

①電動車両の「バッテリ・充電問題」に対処することを目的とした新たなコンセプト車両について検討した。具体的には,利便性の高い非接触急速誘導充電装置を採用して頻繁に急速充電を行うことで,コストや性能面で何かと問題を抱えている「バッテリ」の搭載量を大幅に削減すると同時に,航続距離や充電の問題(時間や手間,そして安全性の問題等)の改善を図る事とした。我々は,当コンセプトを採用するモビリティーとしてはバス交通が最も適していると考え,市販の充電装置を搭載した電動バスの開発を行い,その優れた性能を電力潮流解析技術を用いて評価した。開発車両はWEB(Waseda advanced Electric Micro Bus)と命名され,早大創立125周年記念イベントにも出展された。

②電動車両(主に電気自動車やプラグインハイブリッド自動車を想定)への充電を安全・簡単・短時間で行える非接触急速誘導充電装置を開発した。本装置は特にトラック(送電部)とピックアップ(受電部)の形状最適化により高効率化(総合効率92%),小型軽量化(35kg),薄型化(30mm),長エアギャップ化(100mm)を実現できたものである。最適化は有限要素法電磁界解析に基づき行われた。ここで開発した機器の充電効率は,2007年現在で世界最高性能となっている。