表題番号:2007A-936 日付:2008/02/29
研究課題協働的学習における動機づけ
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院日本語教育研究科 教授 舘岡 洋子
研究成果概要
①問題意識:
 申請者は日本語学習者たちの教室活動として協働的学習の場をデザインし、実践研究を行う中で、協働的活動がそのまま学習の成果につながるとは限らないこと、学習が促進されている場面では参加者の動機づけが高くなっておいることがわかってきた。つまり、活動に積極的に参加し自ら学びを構成していくことが重要であるわけだが、では、どのようなときに協働的学習活動への「参加の動機づけ」は高まるのか、またどのような仕組みで次なる動機づけを引き起こし学びの連鎖を起こしていくのか、という問題意識をもつにいたった。

②研究課題:
 読解授業における実際の協働的な活動におけるやりとりの発話を分析し、また、フォローアップインタビューを行うことにより、どのようにお互いが話し合いに参加しているかを明らかにすることを試みた。とくに「他者」としてお互いの理解過程にどのように貢献しているか、また、なぜそのように参加したかを解明した。

③結果と考察:
 協働的な活動においては、第1に、お互いはリソースとして相手が知らないことを教えるといった役割を果たしていた。これは「情報提供」ということができるだろう。第2に、相手がいることで自分の考えが見直されたり、またメタ認知を高めてモニターしたりしていた。これは前述の「提供=与えるもの」に対しては、「引き出す」ということができるだろう。
 さらに、自分の中で関連付けができ「わかった」と思われることを他者に発信し、また他者の理解を知ろうとすることにより、お互いが理解を共有することができたと感じる。この「共有化の喜び」が協働的学習への参加の牽引力となり、次なる参加を引き起こすのではないかと考えられる。協働的な学習活動が活性化されれば、理解深化に貢献し、また学習への動機づけも高まると期待される。