表題番号:2007A-911 日付:2008/03/24
研究課題軽度発達障害児の親を対象とした問題解決志向のペアレント・トレーニングの効果
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 教授 佐々木 和義
研究成果概要
【対象者】京阪神地区のA親の会に所属する発達障害(自閉性障害・広汎性発達障害)を持つ親6家族7名。
【方法】
手続き:親の会との話し合いで、セッションは全5回とし、隔週に1回2時間で行われた。セッションは、宿題の確認(2回目以降)、行動分析や問題解決の講義、グループごとのホームワークの振り返りや問題解決訓練、および全体にグループでの話し合いの内容の紹介を行った。講義と全体の進行はメイントレーナーが、グループワークはサブトレーナーが行った。
実施尺度:セッション1およびセッション5において、コーピング方略の質について測定する質問紙(只野、2005)とGHQ-30とを実施した。また、セッション1、セッション2、セッション4、セッション5ではSTAIの状態不安の尺度を実施した。
【結果】
 コーピング方略に関して、セッション1とセッション5の間で得点に有意な差異は認められなかった。状態不安に関しては、一要因四水準の被験者内分散分析を行った結果、時期の主効果が有意であった(F(3, 15)=6.84, p<.01。多重比較の結果、セッション1に比べて、セッション4およびセッション5の状態不安得点が有意に低かった(p<.01)。
【考察】
ペアレントトレーニングの実施が参加者の状態不安の低減に効果のある可能性が示された。問題解決訓練の導入によって、親自身が子どもの特定の行動の改善策を考えることができ、それを実行したことによって、子どもの行動が改善された結果によると考えられる。しかし、コーピング方略の全体的な質の向上には、工夫が必要である。