表題番号:2007A-907 日付:2008/03/24
研究課題東アジアの人的資源開発における早稲田大学の役割
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 教授 小島 宏
研究成果概要
 本研究では韓国・台湾における人的資源開発に対する早大の寄与を定量的に明らかにするための予備的研究として、台湾で約20名の台湾人校友に対する面接調査を行うとともに、1993年韓国校友会名簿と2001年韓国校友会名簿をつき合わせて名寄せをし、韓国人校友の職業経歴を明らかにすることにより、韓国人・台湾人校友の人的資源形成に対する早大留学の効果を探ることを試みた。また、台湾・韓国訪問により各国校友会の協力を得て、既存の帰国留学生調査や台湾人校友の面接結果を踏まえて設計した調査票を用いた「早稲田大学の韓国・台湾校友の留学・仕事に関する比較調査」を実施した。成功者だけを定性的に研究するのではなく、各国の校友全体と対比しながら代表性のある客観的な形で早大卒業の個人や社会への寄与を定量的に明らかにすることを目指した。
 しかし、2003年に法人化された台湾校友会は積極的に加入した校友しか入会していないため、会員が高い社会経済的地位の校友や日本と関連がある仕事をしている校友に偏っており、名簿を用いた客観的な定量分析が難しいことが判明した。また、同様の理由で面接に応じてくれた台湾人校友も校友会役員を中心とする経営者、自営業者、日系企業勤務者に偏っていたため、面接結果を一般化しにくいことも明らかになった。さらに、基になった1990年の早大校友名簿の問題であるが、1993年韓国校友会名簿に掲載された古い校友は必ずしも存命中でなく、2001年名簿に記載されていない場合が多いし、記載されていても高齢で同じ勤務先等が記載されている場合が多いことも判明した。その上、2001年名簿で氏名や職業が初出の比較的新しい校友も多く、2時点の職業がわかる校友が少ないし、両方に職業が掲載された校友は高齢者や大学関係者に偏っていることも明らかになった。以上の結果、両国において職業経歴を客観的に定量分析するのが難しいことが判明した。なお、校友比較調査は2月末から3月初めに着手されたため、まだ調査票が回収されていないが、調査票を返送する校友の属性にも偏りがある可能性が強い。