表題番号:2007A-897 日付:2008/03/23
研究課題RHEED 強度振動解析を用いた有機半導体結晶成長の解析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助手 西永 慈郎
研究成果概要
有機半導体薄膜は、発光素子(EL、LED)、薄膜トランジスタ(TFT)、薄膜太陽電池などのデバイスに応用され、その高品質化を目指して活発な研究が進められている。有機薄膜は軽量、大面積化が容易、低コスト性などの多くの利点をもち、今後ますます発展の兆しがある。デバイス性能をさらに向上させるためには、その基盤となる有機薄膜の品質向上が不可欠であり、このため、様々な有機薄膜の成長の研究が行われている。本研究の目的は、無機半導体で培われた結晶成長技術、その場観察技術等を有機薄膜材料に応用し、有機半導体高品質化の研究に役立てること、有機材料としてフラーレンC60を用い、この材料の有効な応用技術を開発することである。そこで、申請者はC60結晶薄膜のRHEED強度振動について行い、RHEED強度振動の観察に成功し、その強度振動周期と一分子層成長時間が一致することを明らかにした。これはC60結晶成長が核形成とステップフロー成長の繰り返しによって進行していることを初めて示したものである。C60成長初期過程に注目すると、GaAs(111)B (2×2)構造上のC60結晶薄膜では、0.5分子層(ML)および1.5ML成長したところに肩またはピークが現れることを発見した。この現象はC60結晶の第1分子層が0.5MLで完成していることを示しており、この理由として砒素三量体によってC60分子の吸着サイトが制限されるモデルを提案した。このC60成長初期層の配列がC60分子と基板表面構造の相関によって決まるというモデルは、走査トンネル顕微鏡による結果からも確認され、モデルの正しさが証明された。この成果は有機半導体で初めてのものであり、学術的に大きな意味を持つ。これによってRHEED強度振動が有機薄膜成長の動的過程観察に有効であることが示された。今後の課題として、他の有機半導体(ポリアセン系化合物等)にも、RHEED強度振動が有効であることを示す。