表題番号:2007A-816 日付:2008/03/19
研究課題法律サービス提供者の倫理に関する日米比較研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 助手 石田 京子
研究成果概要
本研究は、博士論文で詳細に検討することのできなかった個別具体的なインタビュー結果を分析し、米国の弁護士倫理に関する先行研究との比較から、日本の法律サービス提供者の行為規範の特徴を明らかにすることを目的としていた。
日本では弁護士の他、いわゆる「士業」と呼ばれる司法書士、税理士、弁理士、行政書士などの資格者が一定の範囲において法律サービスを提供している。また、司法制度改革において、国民の法へのアクセスを拡充するために、これらの資格者の重要性、活用の必要性が強調された。しかしながら、法律サービスを提供するこれらの提供者の行為規範は必ずしも明確ではなく、また、質的調査の結果分析では、サービス提供者自身が自らの公的役割については自覚しつつも、より良いサービス提供のために具体的な依頼者に対してどのように接するべきか、という点については配慮が不十分であるという結論に至った。
2007年7月25日から28日にかけてフンボルト大学(ベルリン)で開催された法社会学の国際会議において、報告者は本研究についての研究発表を行った。同じグループでは、オランダ、イタリアの公証人の倫理についての発表があり、大陸法系の国における法律サービス提供者の共通点について議論することができ、有意義であった。特に、本発表で報告者が議論した「public oriented lawyer」の問題点につき、オランダ、イタリア、台湾からの発表者がそれぞれの国でもあり得る問題であると同意したことは興味深い成果であった。
本研究の最終的な成果は、現在英文の論文として執筆中である。ほぼ草稿を書き終えた状況にあるが、英語の校正の後、Law and Society Review への投稿を予定している。