表題番号:2007A-806 日付:2009/11/13
研究課題最終提案ゲームにおける役割決定手続きの影響について
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 助手 上条 良夫
研究成果概要
 本研究課題は,申請者が数年にわたり継続してきた,最終提案ゲームにおける役割決定手続きの被験者行動に及ぼす行動についての研究の中に位置づけられるものである。これまでの実験研究により,役割決定手続きが自己決定的であるような場合には,提案者は自身の立場に正当性を見出しより利己的な提案をするようになるようになり,応答者は提案者の立場の正当性を認め,提案者の利己的な提案を受け入れるようになる,ことが明らかにされた。本研究課題では,このような実験結果の頑健性を確認するために追実験を行ったのである。
 追実験は,2007年の7月30,31日に早稲田大学の学生56人を被験者として実施した。実験内容は,ランダムに提案者・応答者の役割が決定される状況下で,応答者が棄却した際の提案者と応答者の利得に格差があるように設計された。このような設定での提案者行動,応答者行動を観察することにより、これまで得られた知見の頑健性について確認できるのである。実験は4セッション行われ、一セッションあたり1時間10分程度であった。
 本研究内容については,2007年日本経済学会秋大会(共同研究者,竹内あい氏による報告)や第11回実験社会科学コンファランスにおいて報告され、日経学会報告時の討論者である広島大学の草川孝夫氏をはじめ,多くの方々からコメントをいただいた。これらのコメントを含めた論文の修正も終了し,現在は査読付き雑誌への投稿準備中である。