表題番号:2007A-058
日付:2008/11/17
研究課題白金(I I)四核クラスター錯体の合成と性質
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 | 准教授 | 山口 正 |
- 研究成果概要
- [Pt4(OAc)8]は4個のPt原子が正方形に配列した白金II価クラスター錯体であり、クラスター平面内の酢酸イオンのみが白金-白金間結合のトランス効果により置換活性であり、これまで各種配位子による置換誘導体を合成してきた。本研究ではピリジン環を持つN, O 二座配位子であるヒドロキシピリジン(Hhp)、6-クロロヒドロキシピリジン(Hchp)、6-メチルヒドロキシピリジン(Hmhp)、及びN, S 二座配位子であるメルカプトピリジン(Hmp) をクラスター面内配位座に導入し、その構造及び性質について調べた。[Pt4(OAc)8]と過剰量の配位子をジクロロメタン中でNaOHと共に数時間攪拌後、精製し目的の新規錯体を得た。得られた新規錯体は、いずれも平面内の4つの酢酸イオンが全てhp, chp, mhp, apに置換されていた。
配位子としてヒドロキシピリジン誘導体を用いた錯体の四核骨格の歪みは,白金四個の最小二乗平面を基準に評価するとhp四置換体が0.12Å,chp四置換体およびmhp四置換体では約0.20Å.と大きく異なっています。これはhpの6-位に置換基があることによる立体障害のためだと考えられます。また,この効果は195Pt-NMRにおいても見られ,hp四置換体のみ約300ppm低磁場シフトしていることが明らかになった。また,mp四置換体については立体障害は無いがS配位であるためにそのトランス効果によりPt-Pt距離が約0.05Å伸びておりその結果四核骨格も歪んでいることが明らかになった。