表題番号:2007A-045
日付:2008/03/22
研究課題動的遮蔽機能を発揮する面不斉有機触媒の開発とその応用
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 | 教授 | 鹿又 宣弘 |
- 研究成果概要
- 本研究では,[10](2,5)ピリジノファンの6位に置換基を有する架橋ニコチン酸(A),および [10](3,6)ピリジノファン骨格を有する架橋ピコリン酸(B)を面不斉素子とする有機触媒反応の開発を行った.特に,AおよびBを不斉源とするキラル四級アンモニウム塩を合成し,相間移動触媒型の不斉アルキル化反応について検討した.その結果,Aを不斉源とするフェナントレン型の触媒では,不斉源であるピリジン環上の置換基を嵩高くすると,不斉ベンジル化のエナンチオ選択性が向上し,最大86%eeで(S)-フェニルアラニン誘導体が得られることを見いだした.一方,ピリジンの構造因子が不斉反応に与える影響を評価するため,Aの異性体であるBを不斉源として有するキラル四級アンモニウム塩を合成してその不斉ベンジル化を検討した.その結果,生成物を与える立体選択性が逆転し,(R)-フェニルアラニン誘導体が約50%eeで得られるという対照的な結果を与えた.このことは,反応系内で生じるエノラートイオンが,A,Bそれぞれの不斉源をもつ触媒で異なる面が遮蔽されていることを示唆するものであり,ピリジノファン窒素原子の孤立電子対がエノラートイオンの接近方向を制御している可能性を強く示唆する結果といえる.