表題番号:2007A-023 日付:2008/03/13
研究課題成人女性の学習記録研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 教授 村田 晶子
研究成果概要
 本研究において対象としている国立市公民館における女性問題学習は、近代思想史、女性解放思想史、そして、社会教育学習・実践論において、際立つ評価を得ている学習実践である。そこには、1960年代半ばから40年にわたり、のべ2000人の女性がかかわり、その学習・実践の詳細な記録が残され、それは、例を見ないほどの質と量である。
 国立市公民館においてもその学習・実践は記録化され、一部は公刊されているものもある。
 そこで、本研究においては、この学習において生み出されてきた記録を広範に収集し、データベースとして作成すること、電子情報として保存することなどを行ない、それらを踏まえて、「育児期の女性の学習の現状」「育児期の女性にとっての学習の課題」「公民館保育室活動のあり方」を考察、成人の学習の構造的把握をめざした。
 これらの作業と平行して、これまでの研究においては等閑視されてきた「職員の役割」「学習を組織する職員の専門性」について考察を深め、研究代表者の村田晶子は、論文「女性問題学習における社会教育職員の専門性 -国立市公民館女性問題学習・公民館保育室活動を通してー」を執筆した。これは、これまでの成人の学習論研究において、社会教育職員の役割や機能についての研究を深める手がかりとしての意味を持つと考えられ、今回のデータベース作成の作業によって、これまであまり光をあてられなかった学習と記録の問題とともに、成人の学習論研究の新たな課題を明確にすることになったと考えられる。