表題番号:2007A-012 日付:2008/03/21
研究課題「ローマ海法」に関する基礎的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 教授 箱井 崇史
研究成果概要
 本研究会は、フランス海商法研究の基礎史料の1つであるCollection de Lois Maritimes Anterieures au XVIII.e siecleに収録されている、主として学説彙纂から抜粋された海商法関連のラテン語諸法文を邦訳・発表することを目的とする。
 研究期間中に、連続して研究会を開催し、学説彙纂の邦訳、外国語訳(英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語・スペイン語)の他、海商法関連の論文・単著を適宜参照して翻訳作業を進めてきた。
 古代ローマの「海商法(と我々が呼び得る法領域)」については、とりわけ邦語での先行研究が乏しい。それゆえ、古代ローマ海商法にかんする用語の定訳というものはほとんどない。また、近現代の海商法における用語法も、それに特殊固有のものであるから、これを古代ローマの「海商法」にそのまま流用することには慎重にならざるを得ない。したがって、ラテン語の一語一句について、現代の海商法の用語をそのまま用いることが妥当かどうか、妥当でない場合にはいかなる訳語が適当であるか、それによって海商法研究者ならびに一般の読者が法文の文意を正確に理解することが可能かどうか、以上の点に十分な注意を払って邦訳を進めている。
 現在までに、「預かった荷物を船で運送する契約を締結した航海管理者(操船には携わらず、船舶の運行管理を統括する責任者。船舶所有者、傭船者がこれを兼ねる場合もある、と考えられる)の保管責任」にかんする諸法文を翻訳している。
 1年の研究期間に到底終了できるものではないが、今後も研究を継続して、研究成果は学内紀要にできるだけ早く公表したい。