表題番号:2006B-289 日付:2013/04/01
研究課題アジア英語の音韻規則に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) メディアネットワークセンター 助手 近藤 悠介
研究成果概要
研究代表者は、第二言語の発話能力を測定する規準をCommon European Framework of Reference(CFER)に求め、アジアの英語学習者の評価においてCEFRの応用可能性を検討し、さらに、第二言語の発話能力の評価において、客観的測定値と主観的評価値の関係を解明し、自動評価システムの構築を目指している。この研究では、Multi faceted Rasch measurementで推定した主観的評価に基づく能力値が、客観的評価項目であるWPMとFilled-pauseによってかなりの程度推測できることが分かった。ただし、母音や子音の質などの主観的評価項目に対応する客観的評価項目が未解析のものもあるため、それらの項目の分析を加えることにより、どの程度客観的項目を利用しただけの推定値の精度が高まるかを今後検討している。また、より能力値の高い推定ができる客観的項目を確定することにより、自動音声評価などの、客観的測定値にのみによるスピーチの評価への応用可能性を検討している。
本研究課題においては、タイ人英語学習者に対象を絞り、音韻規則に関する基礎的な研究を行った。タイ人英語学習者と日本人英語学習者では、母語の音韻規則にない英語の分節音また子音連結などで、その対処の方法が異なる。このように母語によって影響がことなる学習者の発音に関して、発話の評定者にどのような偏りがあるかを実験により検討した。結果は、発音における熟達度の発達が上記研究で解明された発音以外の要素と強く関係していることが分かり、分節音や子音連結において異なる母語の影響が発話能力の全体評価に影響を考慮に入れなくても評価が可能であることが示唆された。