表題番号:2006B-267 日付:2007/02/22
研究課題「日本語教師自身による実践研究」を促進する実践研究理論の構築とその研修環境の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院日本語教育研究科 教授 細川 英雄
研究成果概要
日本語教育の水準向上に,教師自らによる「実践研究」がますます重要な役割を担っていることが,近年,さまざまに指摘されている(実践研究プロジェクトチーム2001; 石黒2003; 細川2005; 横溝2005; など)。
その中でとくに,本申請者は,日本語教育が「教育」という現場における実践であることを重視する立場から,研究が実践と乖離した現状に対して,「私はどのような教室をめざすのか」という問いを出発点とする,実践と研究が不可分かつ往還する実践研究理論を提起してきた(細川2005a; など)。
 これまでにこの実践研究理論を,細川 (2004)は,大学院での教師養成において具体的に位置づけ,申請者所属機関においては「実践研究」科目として実現した (GSJAL2004, 2005)。さらに,日本語教育学会研究集会「実践研究フォーラム」を,委員長として2004年以来毎年開催し,内外の日本語教師による実践研究をめぐる議論の場を提供してきた(他に,細川他2004; 細川2005bなど)。
 今回の研究は全て,本申請者が提唱する「私はどのような教室をめざすのか」という問いを出発点とする「実践研究」理論に基づいて進展された。中でも,多様化が進む日本語教育状況によってその教室で育むべき能力とは何なのかが複雑多様化している現在,日本語学校を中心として,「私はどのような教室をめざすのか」の検討には,さまざまな状況で従事する教師(実践研究者)との対話・討議が必要であるとの声が高まっている。
 そこでまず,本研究では,これまでより継続される実践研究フォーラム等の活動での発表・討議が,より具体的・実効的なものとなると期待できるような研究会を立ち上げた。こうした活動は,大学機関だけでなく,ボランティア,日本語学校,NPO法人など、多様な状況下で活躍する実践者が参加することによってこそ,高い成果をあげることができる。今後は、インターネットを積極的に利用するだけでなく,同時に,実践研究フォーラム開催の実績を踏まえて,各地で小規模かつ深い議論が可能な報告会を開催し,「実践研究」ネットワークを構築することで,実践者間での実質的な討議が可能な環境の構築をめざす。