表題番号:2006B-264 日付:2007/03/16
研究課題汎用GRIDサービスのための自律的資源割り当ておよびスケジュール法の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院国際情報通信研究科 教授 中里 秀則
研究成果概要
ここで検討したGRIDは、ピアツーピア(P2P)システム上に構築することを前提としている。

第1の成果として、P2Pネットワーク上で汎用GRIDを構築する場合の、ジョブ受付に係わる構成をまとめた。ジョブの受付は2段階で行う。まず実行するジョブを受け取ったピアは、そのジョブをどのピアで実行を開始するかを決定する。この判断基準としては、過去の履歴を元にしたBaysianネットワークを用いる手法を取ることとした。次にジョブ受付を割り当てられたピアは、ジョブのプログラムを分析して、並列実行可能な部分に分割する。分割されたプログラムと、観測した近隣ピアの計算資源(空きプロセッサ量、空きメモリ量、ネットワーク帯域など)を元に、各ピアに割り当てるプログラムを決定する。ピアへのプログラム割当は、与えられたジョブの実行時間を最小にすることを目標としている。

分割されたプログラムをピアに割り当てる際の一つの基準として、当該プログラムを特定のピアで実行した時の実行時間を利用する。第2の成果はこの実行時間を推定するアルゴリズムであり、現在その評価を行っている。

またGRIDを利用して実行するアプリケーションの一つの例としてComputer Graphicsのレンダリングを取り上げ、その分割手法も提案した。その提案が電子情報通信学会の総合大会で発表した論文である。レンダリングをステップに分解し、並列実行した場合の情報転送量を見積もり、プログラム分割方法と転送する情報を提案した。今後この分割手法を一つの参考として、プログラムの分割/割当アルゴリズムに改良を加えていく予定である。