表題番号:2006B-257
日付:2007/03/22
研究課題未利用巨大基礎史料に依拠した在タイ華僑・華人近現代史の多面的解明
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 大学院アジア太平洋研究科 | 教授 | 村嶋 英治 |
- 研究成果概要
- 2006年7月初旬の交付決定以後、2007年3月半ばまでに実施した調査研究は以下の3項の大別
できる。
即ち、上記期間中は、本研究者は特別研究期間適用者としてバンコクに滞在していたが、この地の利を
生かして、
①タイ国立公文書館での華僑・華人資料の調査と収集。
②タイ国立図書館での華字新聞(バンコク刊行)の閲覧と複写・筆写。
③中国およびシンガポールへの、タイ華僑・華人資料の調査・収集のための出張。
上記調査研究の成果としては、①に関しては、タイ国立公文書館保存の華僑華人関係資料は膨大である
ので、主に外務省文書を中心に調査収集したが、これらの資料から1920年代後半に中国から来タイ
した多数の中国国民党員および中国共産党員のプロファイルをある程度明らかにすることができた。
②に関しては、1920年代半ばの『華暹新報』(暹羅の国民党右派の党紙)と『励青報』(暹羅の国
民党左派の党紙)を中心に閲覧筆写した。これにより、暹羅における国民党左右派の深刻な対立を明ら
かにし、また、華僑による共産主義運動の出発点を確定することができた。
③に関しては、中国共産党関係の多数の資料展示館および図書館等での調査により、共産党員として中
国に戻ったタイ(暹羅)華僑・華人の、中国での足跡をある程度明らかにすることができた。
なお、本研究は、出発点に過ぎず、今後極力外部研究助成資金等を獲得することによって、本研究課題
を継続拡大できることを期している。