表題番号:2006B-232 日付:2012/04/03
研究課題最大脂質燃焼量と肥満関連遺伝子多型、脂質代謝関連酵素、冠危険因子との相関関係
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 教授 坂本 静男
(連携研究者) スポーツ科学学術院 助手 緑川泰史
(連携研究者) 日本大学 教授 近藤正勝
研究成果概要
大学生相撲部員の身体組成、心肺機能および脂質代謝の特長―同年代の他の種目の大学生選手および一般若年者との比較も含めて―
坂本静男1)、緑川泰史1)、近藤正勝2)
1)早稲田大学スポーツ科学学術院
2)日本大学
【目的】大学生相撲部員群の身体組成、心肺機能、脂質代謝を測定し、他のスポーツ選手群、一般健常人群、一般外来患者群のそれらの値と比較検討して、若年者の運動や生活習慣病保有が身体組成、心肺機能、脂質代謝に及ぼす影響を検討することを、今回の研究目的とした。【対象と方法】対象はすべて男性で、大学生相撲部員群19名、大学生長距離走選手群12名、類似年代のサッカー選手群14名、一般健常人群13名、一般外来患者群11名であった。早朝空腹時に採血し、血清脂質、血清脂質関連酵素、β3アドレナリンレセプター遺伝子多型を測定した。呼気ガス分析を含む運動負荷試験を行い、ピーク時酸素摂取量、最大脂質燃焼量を測定した。これらの測定値に関して5群間にて比較検討した。【結果と考察】大学生相撲部員群の身体組成結果は、相撲部員が内臓脂肪型肥満症であることを示していた。血液検査からはLPL低値、レプチン高値を示す者が多く、HDL-コレステロール低値を示す者が約30%、HDL2-コレステロール高値を示す者が皆無で、大学生相撲部員群が脂質代謝異常を有することを推測させた。呼気ガス分析結果は、大学生相撲部員群の心肺持久性および脂質燃焼能力が他のスポーツ選手群や一般健常人群よりも劣っていることを推測させた。またβ3アドレナリンレセプター遺伝子多型の分析によりTry/Argヘテロ接合体が1/3を占めていたことより、遺伝的素因も以上の脂質代謝異常に関係しているように推測された。
 【結論】運動種目の相違や生活習慣病保有が、身体組成、心肺機能、脂質代謝に対して影響することが推測された。さらに対象数を増加させて検討することが、必要かと考えられる。