表題番号:2006B-216 日付:2014/03/12
研究課題視線運動分析によるe―learning教材画面の視聴過程の解析と構成評価
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 教授 保崎 則雄
研究成果概要
本年度は、まずeスクールで使用されている画面の分析を行なった。プログラム開始当時は、講師の講義、板書、その他キーワードというような画面構成であったが、現時点では、そのようなウィンドウが3つというパターンは、あまりない。理由は、学習者の見やすさ、わかりやすさというものが中心であった。本研究者は、担当の科目「学習とメディア」において、試験的に、1画面方式のビデオ授業を12回分、自主制作し、学習者にその見やすさを調査した。その結果、画面に集中できるという点で、1画面方式がわかりやすく、視聴しやすいとの意見が多かった。

次に、1画面での視聴過程を調べたところ、Talking headでの話者を中心とした視聴プロセスが認められた。また、画面に文字情報が呈示されると、視線は、文字情報、というよりも新しい情報、動く情報へと吸い寄せられるように微動しつつ、飛越運動をすることが確認された。このことは、伊藤(1997)、鈴木、保崎(1997)の先行研究の結果と同様の結果となった。ただ、今回はまだみやすさ、内容の理解度という点からの結果がデータ収集中にで部分的にしか出ておらず、4月から5月に関して、そのデータが継続収集され、分析されれば、さらに明らかになるものと思われる。この事に関しては、7月上旬のImproving University Teaching International Conference (Jaen, Spain)での報告が決まっており、そのことには、さらに詳しい結果が判明すると期待される。

また、それとは前後するが、本研究テーマに関する発表論文として、以下のものがある。この論文では、教授側と教育コーチの役割、連携が学習者との新しい教育コミュニケーションをつくり出し、独特のパターンが存在することを「実践知」「経験知」をベースにまとめた。具体的には、BBSでの教育コミュニケーションは、講義科目であれば、議論の「核」となる授業内容があり、比較的質疑応答もスムーズに行なわれるが、演習のようなややもすれば、Individual Studyのような様相を持っている科目では、議論が活発化しにくく、たとえBBSでの書き込みであっても、結局は1対1の個別指導という形式になる。ところが、せっかく学習コミュニティを形成している(はずの)BBSであるのだから、それを活かすべく努力が必要となる。そのひとつとして、古典的な方法ではあるが、「ことば掛け」を多用するという方法でいくらかの効果を得た。これからさらにあれこれの方法を駆使して、より活発な議論、卒業研究完成へと進めて行く必要があるとの結論に達した。