表題番号:2006B-171 日付:2007/03/20
研究課題実用化に向けた高圧縮符号化アルゴリズムに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助手 須子 統太
研究成果概要
情報ネットワーク社会において,情報の圧縮技術は欠くことのできない基盤技術である.
現在、主に使われている圧縮技術は80年代にZivらによって提案されたLempel-Ziv法(LZ法)を基礎においている.具体的には,gzipなどの圧縮ツールのアルゴリズムで使われている.LZ法が提案されて以来,LZ法をベースにした改良法の研究が数多くされてきた.90年代後半になると,一定の成果を得たことで,大きな進展はなくなり,また情報ネットワークの高速化に伴い,多少の改善によるメリットが薄れてきたため,圧縮技術に関する研究は,一度は収束を迎えたかのように見えた.
しかし近年,情報ネットワークの高速化が頭打ちになりつつある中,情報コンテンツの大容量化の速度は依然衰えず,圧縮技術の重要性が増しつつある.そのため,圧縮技術の基礎理論のさらなる発展は今後のネットワーク社会における重要な課題のひとつである.
90年代に研究されていたベイズ符号という符号化法がある.この符号は,理論限界を達成することが示されており,他の符号よりも高い圧縮率で圧縮することが可能であることが知られている.
従来,ベイズ符号やその他の符号に関する研究では定常な情報源に対しての研究がほとんどであり,より一般的な情報源である非定常情報源に対する研究は少ない.実際に圧縮するデータが非定常性を有することは充分に考えられ,実用化に際しては非定常な情報源に対しても性能が保証される符号の構成が必要となってくる.
そこで本研究ではある非定常な情報源のクラスに対し,効率的なベイズ符号の構成法を提案し,それに対する漸近的な性能評価を行った.