表題番号:2006B-157 日付:2007/03/25
研究課題多体相互作用モデルのモデル選択に関する情報論的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 講師 井上 真郷
研究成果概要
 多体相互作用モデル,特に二体結合モデルで,その結合が疎な場合の研究を進めた.その結果,以下の三つの系で新しい知見得られ,また手法が開発でき,それぞれ成果発表を行った.また,モデル選択の領域にまでは十分踏み込むことができなかった.
 低密度パリティ検査符号の復号問題を解析した.対象にした系は厳密には六体であるが,低次偶数体という点では共通点が多い.このような系では,条件によってスピングラス相と呼ばれる特徴的なマクロ状態をとるが,その状態を主成分解析したところ,結合が密の系と同様の三角形構造が生ずることが分かった.また,磁場下では,この三角形構造の大きさが磁場に応じて小さくなることが分かった.このことについて成果発表を行った.
 haplotype推定問題での推定手法の開発を行った.この系ではかなり異なったタイプの二体結合モデルを構築し,最良解を近似的に求める一手法を開発した.その後,この二体結合モデルは系のサイズが比較的小さいことが多いため,厳密に解くことが不可能ではない場合があることが分かり,厳密解を求めるアルゴリズムを構築し,成果発表を行った.
 脳の一次視覚野からの視覚画像推定を行う推定手法を開発した.この系では事前分布に隣り合うスピン同士のみに二体結合があるというモデルが構築されており,以前から良く研究されている.この系に対し,一次視覚野で行っていると言われるGaborフィルタをかけ,フィルタ出力からの原画像推定を行う具体的な推定手法を開発した.結果,質的には期待通りの推定結果が得られ,成果発表を行った.