表題番号:2006B-148 日付:2008/05/28
研究課題重力下および微小重力下において回転しながら伸展する柔軟構造体に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 山川 宏
(連携研究者) 理工学術院 准教授 宮下 朋之
研究成果概要
宇宙構造物の小型化・軽量化・低コスト化が宇住空間での機械構造物が備える重要な特性であり,巨大アンテナや大面積の太陽電池パネルなど宇宙構造物の大型化の需要も増加している.そこで,宇宙空間で大型構造物を実現し,輸送ロケットで運搬するため搭載時の体積や重量の制約を満たす収納効率の高い軽量構造物の実現が必要である.このためには,いくつかの構成部品を展開して大型化するため展開時の挙動の影響を十分に把握した設計を実現することが重要である.そこで,本研究では,宇宙空間において,自転を有する人工衛星を想定し,そこから棒を生成し進展する構造物の実験的及び解析的に評価を行うことを目的とした.実験は,地上及び航空機落下などにより生成した微小重力環境において行い,解析にはプログラムを作成し計算機実験を行った.計算に先立ち必要となる力学モデルを軸長が時間変化する弾性端を有する弾性回転軸として,運動方程式の導出を行った.ここでは,コリオリ力や遠心力の影響が見いだされ,そのモデルより数値計算を行った.先端軌跡と本研究で得られた数値解析結果を比較することで数値解析結果の妥当性を確認でき,振動の周期は伸展により変化する固有振動数の変化と共に変化しながら回転中心に収束していくことが確認できた.また伸展終了後はその伸展長での固有振動数の周期で振動しながら回転していることを確認し,回転を有する柔軟構造物の挙動の基礎的な知見をえることができた.よって,弾性回転軸を用いた簡易モデルにおいても安定した伸展をさせるための伸展速度・伸展加速度・伸展中の回転数判別や逆に不安定になる条件判別をすることができることが可能となり,動的挙動の検討や条件判別は解析的にも簡明で把握し易いため初期設計の段階において活用できると考えられる.