表題番号:2006B-147 日付:2007/03/27
研究課題FPGAを用いた遺伝統計学アルゴリズムのハードウェア設計
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 柳澤 政生
研究成果概要
ヒトゲノムのDNAの全塩基配列を解読する構造解析は終わり、ゲノムの解析作業は構造解析により得られたDNA塩基配列から遺伝子の働きを解読する機能解析に移行している。機能解析の中でも、遺伝子情報からSNP(スニップ)やマイクロサテライトといった多型情報を得て、これを基にハプロタイプやディプロタイプを遺伝統計学アルゴリズムによって求め解析し、病気等の原因となっている遺伝子を特定することは、将来行われるであろうテーラーメイド医療に必須である。遺伝統計学アルゴリズムとしては連鎖不平衡解析が有力であり、EMアルゴリズムに基づく方法、MCMC法、Pooled DNA法が知られている。しかし、これらのアルゴリズムはいずれも膨大な時間を要するものであり、ソフトウェアによる改善だけでは実用的なものを開発するのは難しい状況である。
本研究では、FPGAを用いることによって、遺伝統計学アルゴリズムを高速に実行するハードウェアシステムを構築することを主たる目的とする。このために、まず、FPGA、遺伝統計学アルゴリズム、および、CAD技術に関する調査を行った。その後、アプリケーションプロセッサのデータキャッシュ構成最適化手法、SIMD型プロセッサコアの自動合成のためのパイプライン演算ユニット生成手法、HW/SW協調合成におけるアプリケーションプロセッサの面積/遅延見積もり手法、レジスタ分散・共有併用型アーキテクチャを対象としたフロアプランを考慮した高位合成手法、動的再構成可能なマルチレート対応LDPC符号複号器の実装、アプリケーションプロセッサのフォワーディングユニット最適化手法、XMLをベースとしたCDFGマニピュレーションフレームワーク:CoDaMaなどに関する研究を行い、その研究成果を学会において発表した。また、FPGAを用いたハードウェア・アーキテクチャの詳細の検討およびシミュレーションにより検証を行った。