表題番号:2006B-141 日付:2007/03/20
研究課題パターン活用環境の実現による大規模知識再利用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 深澤 良彰
研究成果概要
 ソフトウェアパターンとは,ソフトウェア開発の各局面で繰り返し現れる問題に対する解法・指針である.ソフトウェアパターンを学習することにより,熟練したソフトウェア技術者が持つ様々な経験を,ソフトウェアパターンによって利用できるようになる.パターンカタログは,統一された記述形式のパターンの集合である.パターンカタログに,実際の利用や組み合わせのための指針を加えたものがパターン体系である.
 ソフトウェアパターンに関する取り組みの初期においては,パターンの収集が重要であるとされたが,現在では,すでに多数のソフトウェアパターンがWorld Wide Web (WWW) や書籍で公開されているため,今後の取り組みにおいては,パターンの収集と共に既存パターンの体系化が重要である.パターン体系は,対象パターン集合について,パターン間の関連を明確化し,利用や組み合わせのための指針を提供する.
 現状では,パターン間関連の考察は,主に人手によって行われているが,パターン数の増加に伴って,関連を考察すべきパターン組の個数が爆発的に増加する.そのため,人手によるパターン体系化はスケーラビリティに欠ける.よく関連分析されたパターン集合は,特に大規模なものでも70 個程度であり,組み合わせ爆発を考えれば,人手のみで関連分析可能なパターン集合の規模は,現実的には数百個程度であると推測される.これに対して,少なくとも約700 個のソフトウェアパターンが存在することが確認されている.さらに,国際会議でパターンが発表されているため,実際のパターン数はさらに多く,これらのパターン間の関連分析は人手では困難である.我々は,パターン間関連分析の自動化のために,文書類似度を基礎としたソフトウェアパターン間関連分析手法を提案した.本研究では,すでに提案された分析手法とは異なるパターン間関連を得るために提案手法を拡張した.提案手法を用いることで,人手による多数のパターン間関連分析を支援することができる.