表題番号:2006B-134 日付:2007/03/24
研究課題手書き漢字の自動採点及び自動指導システムの研究開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 成田 誠之助
(連携研究者) 日本大学 付属研究所 助教授 保坂 敏子
研究成果概要
本年度は日本語を中心とした計算機支援による学習支援システムを学習者および指導者の立場から検討を加え、次の2つのテーマについての研究成果を得た。

1.”Focus on From"に基づいたプレゼンテーション学習システムの構築
 言語教育にはテキストベースの繰り返し学習とジェスチャーを交えて実際に発話することによる学習があるが、複数の学習者を対象として教育を行う場合、個人個人の進捗状況にマッチして指導するための負担は指導者にとってきわめて重く、抜本的な解決策が求められていた。このような背景を受け、当研究グループも音声認識や電子黒板などを組み込んだインターネット教育支援システムの開発から、日本語・中国語・ドイツ語などの語学教育のための教材の作成など幅広い研究を行ってきたが、本研究においては、第二言語習得における「化石化(定着化)」の問題やU字型発達の第2段階における学習問題に焦点をあて、「Focus on Form」に基づいた考え方により、日本語を学ぶ留学生を対象にした口頭発表(プレゼンテーション)技能の向上を目的としたWebアプリケーションの開発を行った。デジタルビデオを使った映像教材に対するフィードバックの方法としては、撮影した発表や会話の映像を早送りや巻き戻しをしながら再生し、誤りのある箇所や訂正箇所で止めて、教師が指摘する方法がとられることが多いが、開発した本システムでは、授業で撮影した留学生の発表をシステムにアップロードし、教師が映像ファイルに発音の誤りや文法・表現の誤りなどのコメントを不可することにより発表内容の添削を行うことを可能にした。学習者はコメントされた箇所を閲覧し、テキスト形式で訂正した文章を再度提出して教師に添削を依頼するというステップを通して口頭発表技能と発表内容の完成度を向上させることを実証した。

2.オンライン授業を可能とするe-learningウエブアプリケーションの開発
学習者がグループ学習を行ったり、遠隔地からのチューター教育を受ける際、教材を適切に提示し、コンテンツを共用できるシステムの開発が望まれていた。開発したシステムはユーザーが互いに資料をシステムに持ち込み提示することによって、情報共有をかのうにする。参加ユーザーのマウスポインタが、他のユーザーの画面に描画されるため、図や絵などの情報の特定部分を指定することなどを容易にする。また、画面スペースを最大限に利用するためにマルチウインドウを採用し、複数のコンテンツを自由に配置できる。更にテキストチャットや、同期テキストエディタ、同期簡易ブラウザなどを実装している。背景はデスクトップ化され、アップロードしたファイルはアイコン化して管理することでオンラインストレージとしても機能する。キャンパスモードを実行し、マウスやペンマウスによる手書きが可能になった。