表題番号:2006B-122 日付:2011/11/02
研究課題安全な人間追従を可能にする人間共存ロボットの表面カバーに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 菅野 重樹
研究成果概要
 人間と共存するロボットは,人間と直接的に触れ合っても安全である機能が要求される.本研究では,この機能実現のために,以下の3課題の研究を進めた.
(1) 基礎評価用表面カバーの開発
(2) 人間による接触認知の実験
(3) 実験・計測用マニピュレータの設計・試作
 人間とロボットとが接触しても安全であるためには,まず人間同士が共同作業をする際に生じるさまざまな触れ合い状態を,コンテキストとして分析し,力学的な解析と組み合わせることで,触れ手側と受け手側とのデータの特徴として表現することを試みた.この実験のために,分布型触覚センサと6軸力センサを用いて評価用表面カバーを試作し,これを人間の前腕部に装着して共同作業中の触れ合い状態を計測した.また,作業のシナリオ/コンテキストに基づき,接触が生じる場面,時間的推移,接触の程度の関連性を検討し,接触情報の認知と接触制御手法について考察した.
 さらにこのデータを基に,ロボットの接触検出用表面カバーとしての仕様を検討し,合わせて,安全なロボットマニピュレータシステムを構築するために,これまでに本研究で提案しその有効性を実証してきた関節メカニズム(MIA: Mechanical Impedance Adjuster)をベースとして,この関節機能と表面カバーの機能とをうまく両立させたシステムの構築を検討した.
 以上より,触れた際にそこに込められた意味,例えば,気付かせる,注意する,促すなどを接触情報から区分けする方法を見出し,逆にその接触情報を人間に与えられれば,同様の情報伝達が可能であることを確認した.これらの知見を,ロボットマニピュレータ全体の制御にインプリメントし,人間とロボットとの相互の触れ合い情報伝達の基礎実験の準備を行った.