表題番号:2006B-115 日付:2007/03/16
研究課題無機ナノシート構造を活用した無機ナノ材料の設計
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 黒田 一幸
研究成果概要
無機層状物質(層状ポリケイ酸塩、カオリナイトなど)、ナノシート(層状ニオブ酸塩K4Nb6O17)を用いた無機有機ナノ誘導体、ナノ構造体を合成し、その組成・構造制御による機能発現に向けた基礎的知見を得ることを目的とし研究した。
無機有機層状複合体は二次元的に制限された場を生かした吸着剤、反応場への応用可能性を有している。層状ケイ酸塩カネマイト (NaHSi2O5・3H2O)の層間環境の親・疎水性を制御することを目的とし、カネマイト層間へ両親媒性分子である非イオン界面活性剤ポリオキシエチレンアルキルエーテルのインターカレーションを試みた。直接反応ではインターカレートしなかったが、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムイオンをインターカレートさせた層間化合物を中間体としてカネマイト―ポリオキシエチレンアルキルエーテル層間化合物の合成に成功した。また、層状粘土鉱物カオリナイトをホスホン酸で修飾することにより層間環境を親水化し、水のインターカレーション、デインターカレーションによる層間距離の変化やヘキサデシルトリメチルアンモニウムイオンのインターカレーションを実現した。
無機ナノシートが巻くことで得られるナノチューブは、その壁にシートの重なりによる層状構造を有している。このような層状物質は、従来の平板状の結晶形態を有する層状物質とは異なる性質が期待される。K4Nb6O17系ナノシートから得られるナノチューブ層間へのトリスビピリジンルテニウム錯体及びメチルビオロゲンのインターカレーションを様々な濃度、温度で行った結果、トリスビピリジンルテニウム錯体及びメチルビオロゲンの濃度によって層間への導入量の制御が可能であった。また、ナノチューブは元のK4Nb6O17層状物質に比べ高いインターカレーション能を示し、低温、短時間で反応が進行した。