表題番号:2006B-107 日付:2007/03/02
研究課題等質射影多様体のLie環論的、表現論的、および、代数幾何的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 楫 元
研究成果概要
福井大学の保倉理美氏との共同研究により, ある種のreductive代数群の自然な作用に関する軌道分解について研究を行なった. 詳しくは, n次複素回転群とm次一般線型群の直積, SO(n) x GL(m) の, n行m列複素行列空間 M(n,m) への自然な作用による軌道分解を調べた. この概均質ベクトル空間に関する軌道分解は, すでに, 佐藤幹夫氏, 柏原正樹氏, 木村達雄氏, 大島利雄氏による著名な論文(M.Sato, M.Kashiwara, T.Kimura, T.Oshima: Micro-local analysis of prehomogeneous vector spaces, Invent. Math. 62 (1980), 117-179) において一例として取上げられているが, 保倉氏との共同研究においてそこに誤りがあることを発見した. 上記の我々の成果はそれを修正し完全な軌道分解を与えたものである.
一方, 射影多様体のreflexivityとガウス写像の分離性との関係については, これも長年研究を続けているテーマであるが, 未解決のまま残っていた2次元の場合にその同値性を証明することができた. これは広島大学の深澤知氏との共同研究の成果である. 従来の自分の研究成果と深澤氏の研究成果と合わせると, 1次元と2次元の場合は同値であり, 3次元以上の場合はreflexiveならガウス写像は分離的であるが, 逆は成り立たず, 任意正標数, 任意次元(≧3)の反例が存在することが示された. したがって, 任意標数, 任意次元においてreflexivityとガウス写像の分離性との関係が明らかになったことになる (標数零の場合は同値であることが古くから知られている).