表題番号:2006B-105 日付:2007/03/24
研究課題界面制御による高機能性磁気記録デバイス材料の創製
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 逢坂 哲彌
(連携研究者) 先端科学・健康医療融合研究機構 客員教授(専任扱い) 朝日 透
(連携研究者) 先端科学・健康医療融合研究機構 客員助教授(専任扱い) 中西卓也
(連携研究者) フューチャーインスティテュート 客員講師(専任扱い) 杉山敦史
研究成果概要
磁気記録を牽引するハードディスクドライブ(HDD)の大容量化と小型化の進行に伴い、その用途は従来のPC外部記憶装置に加え、携帯電話等の様々な情報家電へと広がりつつあり、HDDの高性能化が新たなアプリケーションを創出しているといえる。本研究は、この磁気記録分野の材料開発において特異なアプローチと言える電気化学法を、界面制御に注視することで「均質性に優れた磁性ナノ結晶粒子(構造体)の集積薄膜」の開発法として提案することを目的にする。そのために、HDD記録媒体の基幹である「軟磁性裏打ち層」および「中間シード層」の電気化学的手法を用いた応用開発、さらには界面制御の概念を乾式法までに拡張することで高磁気異方性を有する「記録層」の開発を試みた。
「軟磁性裏打ち層」の媒体への付加は記録ノイズの低減を図るものであるが、軟磁性層自体に由来するスパイクノイズおよび直流ノイズ2つの磁気ノイズを抑制することが必要であった。今課題では軟磁性金属CoNiFe無電解めっき条件を段階的に変化させ、得られる薄膜の磁気的性質を制御することで、記録・再生上の役割が異なる2つの層から構成される「多層構造軟磁性裏打ち層」を作製し、優れたノイズ特性を確認した。「中間シード層」については、下層と金属イオン間の電子授受により進行する置換反応を用いて、軟磁性裏打ち層上にナノメートルオーダーのパラジウム結晶の析出を行い、これをスパッタ法により形成される記録層の粒子成長場とすることで磁性粒子寸法と結晶構造の制御が可能であることを見出した。また、次世代記録層の一つとして嘱望されているSmCo5薄膜は、当グループが世界に先駆けて垂直磁気異方性を発現させたものであるが、その垂直異方性の発現機構や膜の微細構造解析を進めた。当研究ではこれら成果を通してテラビット級の磁気記録材料の指針を示した。