表題番号:2006B-101 日付:2011/05/26
研究課題光パケットスイッチング用高速高機能半導体光デバイスの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 宇高 勝之
研究成果概要
インターネットの進展に対応して望まれている次世代フォトニックネットワークの構築に対応すべく、基幹ネットワーク系における光パケットスイッチング用高速光スイッチの特性向上の検討及び広帯域LAN/アクセス系用高機能光デバイス開発を行った。
 前者として、当研究室で提案、開発してきた半導体高速光スイッチである部分屈折率変調多モード干渉導波路型光スイッチ(MIPS-P)について、これまでに実際に電流パルス変調により数ナノ秒の高速応答を確認してきたが、過渡応答に不用な振動成分や遅い成分があることが問題であった。そこで、一層の高速化を図るべく、その原因について理論的に検討し、注入キャリアの変調領域からの拡散によるものであることを明らかにした。その考察を元に、キャリア拡散を抑圧すべく電流狭窄構造の機能に加えて、位相変調を寄り確実に行う素子構造としてマッハツェンダ型多モード干渉導波路型光スイッチ(MIPS-MZI)を新たに提案し、基本特性を解析により明らかにした。その結果、同時に素子サイズの低減化も可能となり、従来のMIPS-Pより70%位の素子長で、 -30dB以下の低クロストークをより低い電流で光スイッチングを達成可能であることを分かった。現在素子作製に向けて準備を進めている。
 他方、後者として、低コストで高機能な光デバイスを作製することが可能なシリコン導波路を用い、超高密度波長多重システムに対応したチューナブルバンド選択インターリーバスイッチを開発した。まず高精度波長フィルタを実現するための高品質シリコン導波路ブラッググレーティングを電子ビーム露光とDeep-RIE及びICP-RIEを駆使して作製する技術を確立した。周期は1次回折格子に対応した約230nm、深さは約1μm位までの深さが実現できた。さらにやはり研究室で提案した中モードサイズ導波路を用いて、マイケルソン干渉系に上記ブラッグ回折格子を装荷し、また位相調整用に電極を形成した前記インターリーバを作製し、実際にITUに準拠した波長間隔0.8nm、選択バンド幅4nm、波長可変幅2nmで、選択波長群を間欠的にスイッチング可能なインターリーバスイッチを実現し、今後の低コスト高機能光LAN用光デバイスの有効性を明らかにした。