表題番号:2006B-096 日付:2007/11/16
研究課題有限要素法を用いた地下構造物の資産価値評価法の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 赤木 寛一
研究成果概要
これまでわが国では不足する社会資本を建設してきたが、40 年以上経過したストックに老朽化が見られ、更新・補修時期に入っているものが多く存在する。また社会経済状況も変化し、財政的にも厳しい状況の中で、現存する社会資本の効率的な運用・維持管理が重要な課題となっている。その中で社会資本を「資産(アセット)」とみなして、民間企業などで用いられているマネジメント手法を活かそうという動きが起こってきた。例えば、国土交通省では平成15 年度から「道路について、コスト縮減等を目指し、道路の管理手法にアセットマネジメントの考え方等を導入する」とされるなど、その取り組みが始まっている。効率的な維持管理・補修計画を立てるためには、構造物のライフサイクルコストを考えるとともに、現存する社会資本の資産としての価値を適切に評価する必要がある。
本研究では地下構造物の資産価値評価法に原価法の考え方を用い、資産価値算定式を提案した。これは構造物の建設費と構造物の物理的な劣化による減価償却に基づくものである。減価償却は、有限要素法を用いて求めた耐用年数により評価した。その適用事例として、沈下未了の軟弱地盤内のシールドトンネルを想定し、初期建設費を100 とした場合には補修費用が51.7 までの範囲内であれば対費用効果が1 を上回ることを実証した。