表題番号:2006B-088 日付:2007/03/19
研究課題第三次産業革命における中国のコンビニエンス・ストア
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 教授 川邉 信雄
研究成果概要
中国は、改革・解放政策以降、「世界の工場」として発展した。中国政府は、そのために製造分野の外資企業を積極的に誘致してきた。しかしながら、1990年代に入ると、経済成長の成果によって中国の人々、とりわけ沿岸部の人々の所得が急速に向上した。その結果、巨大な消費市場が形成されつつある。
中国政府も1990年代に入ると、小売分野においても外資企業に対して規制を緩和し始め、近代的な小売・流通業のノウハウを導入しようとした。規制緩和のバックアップを受けた巨大市場を目指して、日欧米の多国籍小売企業が中国に進出した。欧米のウォルマート、メトロ、カルフールなどのディスカウントストアに対して、日本からはセブンーイレブン、ローソン、ファミリーマートなどのコンビニエンス・ストアの中国への進出が目立つ。
一般的には、第二次産業革命の小売業である百貨店やスーパーやディスカウントストアと異なり、コンビニエンス・ストアは第三次産業革命の小売業といわれる。中国は急速に工業化を遂げつつあるが、後発国の特徴として、第一次、第二次、第三次産業革命がほとんど同時に生じている。
本特定課題研究は、こうした経営環境のなかで、日本から進出したコンビニエンス・ストアはなぜ、どのようにして、経済発展の異なる中国で他の小売業態と競争し、現地に適用しているために変化をとげているのかを分析するものである。
これらの問題を分析するために、2006年9月に1週間ほど中国における現地調査を実施した。現地調査と歴史的分析によって、日本や米国では第三次産業革命の小売業として発展したコンビニエンス・ストアが、中国その他のアジア太平洋諸国でなぜ受け入れられたのか、受け入れられるためにどのように内容が変化したのかが明らかになる。それによって、それぞれの国におけるコンビニエンス・ストアの社会における役割や地位が異なることが明らかにされると思われる。