表題番号:2006B-050
日付:2008/03/07
研究課題『長珊聞書』を中心とする中世の源氏物語古注釈の研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 文学学術院 | 助教授 | 陣野 英則 |
- 研究成果概要
- 中世の源氏物語古注釈書『長珊聞書』(陽明文庫蔵、全53冊、約3100丁分)の紙焼きコピーは、2004年7月に入手していたが、今年度は、昨年度に引き続き、この膨大な量に及ぶ資料の解読・翻刻作業を進めた。この作業は、早稲田大学大学院出身の新美哲彦・緑川真知子・横溝博の三氏の協力を得ている。この翻刻の成果については、武蔵野書院から『源氏物語古註釈叢刊』(全10巻、既刊8巻)の続刊として、全4分冊で刊行されることが決まっている。当初は、4分冊のうちの第1分冊(「桐壺」~「須磨」巻)を2006年度中に刊行する予定であったが、翻刻作業がまだ完了していないため、刊行は2007年度となる。
また、中世の源氏物語古注釈研究の一環として、一条兼良から牡丹花肖柏、そして三条西家の注釈へと至る過程をより実証的にとらえるべく、若手研究者ならびに大学院生たちとともに、研究会(原則として月1回)において未翻刻の注釈書の解読作業に取り組んでいる。現在は『肖柏問答抄』を読み進めている。さらに、この研究会での活動の成果を公にするため、論集の編纂を企画している。予定としては、2008年秋に第1集を刊行すべく調整中である。
さらに、これらの古注釈研究と並行して、平安時代の物語文学を主たる研究対象とする論文3篇などを発表した。うち2篇の論文では、特に和文(仮名文書)の生成をめぐる新たな考察を展開している。また、『堤中納言物語』「逢坂越えぬ権中納言」の生成・享受に関する論考もまとめた。