表題番号:2006B-004 日付:2007/04/02
研究課題北東アジア地域の農地所有と企業的経営展開の対応過程
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 教授 堀口 健治
研究成果概要
調査地・中国山東省莱う市房干村からみた地域の土地に関する権利関係と村企業
農業は日一日と衰退し土地面積は10年の間に半分に減っている。一方、観光業の発展は、農民の就業を保障し、農民の生活水準を大幅に上昇させた。
村幹部の指導は30年の長きに渡っている。今、房干村農民の生活は日一日と豊かになっている。しかし房干村に貧しい家庭もいくつか存在し、その家庭は村から補助金を受けている。冬に、村は無料で村民に暖房を提供し、房干村の農民は、すべて、国家補助の医療保険に加入し、一部の人は年金にも加入している。観光業のおかげである。
村幹部の給料は普通の農民より高い、また、彼らは公共資源を支配する権力があるから、目に見えない収入がある。(たとえば、事務用の車、招待費、出張費など)。房干村には集団所有の会社が存在しているが、十分には規範化されていない。資本金は7920万元で登録されたが、実際は、登録資金に対する検査は厳しくない。
集団所有の会社は、全村の流動資産と固定資産をもとに、評価し登録されている。理論的には全村のすべての農民は株主になるわけだ。しかし、今の農村土地の集団所有制は財産権を明確にしていない。房干村の農民は、土地、山林に対して、使用権があることをわかるが所有権があることは知らない。集団所有の会社における農民の権利関係は、明確には規定なされていない。彼らは、小農の考え方で、目に見える利益をもらえる村幹部を支持し、年末の利益配当に満足している。
われわれは、村に別荘を持っている人について調べた。2006年に、130戸の地域外の人が別荘を建てている。リーダーの話によると、ここに、別荘を建てるのは、すべて、房干村に貢献した人あるいは会社である。電力会社は房干村の観光事業に協力したから、房干村に研修センターを建設した。別荘を持っている個人に、私有企業の経営者もいるし、大学から定年退職した人もいる。マスコミで働いている人もいる。しかし多くは、莱う市と済南市から来た人である。いずれにしても、この人たちの中にはここに、投資したい人もいる。
房干村に農地は163.72畝しか残っていない。経済環境が不安定になれば、観光業に悪い影響を及ぼすはずである。観光業の収入が減少すれば、房干村の農民は、農業に戻らなければならないが、それにしては面積はすでに戻るには割り込んでいる。
90年代より、今の房干村農民の生活は大きく変わってきた。豊かな生活へのあこがれは、その変化の動力でもあった。以前は受動的に集団の力で貧窮を変わるための選択であったが、今は違う。