表題番号:2006A-886 日付:2008/02/21
研究課題捕捉されたBose-Eintstein凝縮の場の理論的解析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助手 峰 真如
研究成果概要
 中性原子Bose-Einstein凝縮において,特に凝縮体が高次の量子渦を持っている場合や光学格子ポテンシャル中を流れている場合には,凝縮体まわりのゆらぎを記述するBogoliubov-de Gennes(BdG)方程式に複素固有値が現れるパラメータ領域があることが知られており,この複素固有値は系の不安定性を表していると考えられている.

 申請者らは既に上記のような複素固有値が出現する場合の場の量子論を提案しているが,本研究課題ではその解析を発展させた.その内容は大きく分けて以下の2点である.

1.Rossignoli-Kowalskiの方法とBogoliubov-de Gennesの方法の関係性の解析
 複素固有値がある場合に演算子形式で場の理論を展開する場合,Rossignoli-Kowalskii(RK)の方法と前述のBogoliubov-de Gennes(BdG)の方法が知られている.前者は定計量の完全系で場を展開した後でハミルトニアンをモードの混ざらない形に変換するのに対し,後者は最初から不定計量の完全系で場を展開する.両者の関係は自明でなく,また場の理論における複素固有空間の表現に関する重要な問題であるが,これまで明らかにされてこなかった.申請者らは励起モードに関して両者の関係性を明らかにし,両者のスペクトルが一致することを示した.

2.光学格子中を流れるBECに関する場の理論的解析
前述の複素固有値が出現する場合の場の理論を,光学格子中を流れるBEC系に対して応用した.可能な限り解析的な表示を求めるために,強結合近似および第1ハンドに限る近似を用いた.その結果,定量的な評価に成功した.この結果を,従来のGross-Pitaevskii方程式による古典論の解析と比較した.