表題番号:2006A-066
日付:2008/11/17
研究課題タンパク質の赤外スペクトルの外部電場効果に関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 | 教授 | 古川 行夫 |
(連携研究者) | 理工学術院 | 客員研究助手 | 細井 宜伸 |
- 研究成果概要
- タンパク質のアミド結合に由来する振動バンドのシュタルク効果と二次構造の関係を明らかにする基礎として,.alpha.-へリックス構造をとる合成ポリペプチドの赤外シュタルクスペクトルについて研究した.poly(.beta.-benzyl-L-aspartate) (PBLA)は,固体フィルムで.alpha.-へリックス構造をとることが知られている.フッ化バリウム基板上にアルミニウムの半透膜を蒸着し,その上に,PBLAのフィルムをスピンキャスト法により作製し,さらにその上にアルミニウムの半透膜を蒸着して,振動シュタルク効果を測定する試料とした.室温において電圧を印可した状態としない状態の赤外差スペクトルをFT-IRを利用して測定した.測定したスペクトルのうちNH伸縮振動,アミドⅠバンドのシュタルク効果を解析した.まず,バンド波形をフィッティングし,そのスペクトルから一次,二次微分スペクトルを計算し,観測されたシュタルクスペクトルを零次,一次,二次スペクトル成分に分割した.さらに,一次成分から分極率差,二次成分から双極子モーメント差を求めた.外部から印可した電場と内部電場との補正係数をfとする.PBLAのNH伸縮では,双極子モーメント差と分極率差は,それぞれ0.24 D2/f,0.28 .ANG.3/f2であった.アミドⅠでは,0.064 D2/f,-2.7 .ANG.3/f2であった.これらの値は.alpha.-へリックス構造をとるpoly(.gamma.-benzyl-L-gultamate) (PBLG)で得られた値と同等であった.