表題番号:2005B-383 日付:2006/02/21
研究課題セキュア画像圧縮LSI技術の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 助教授 池永 剛
研究成果概要
動画メディアは、TV電話、ビデオレター、ネットワークカメラ(監視用・介護用)など、ホームネットワーク上においても幅広く流通し始めており、セキュリティおよびプライバシーの観点から、そのセキュア化は、極めて重要となってきている。本研究課題では、動画像圧縮手法として最も幅広く用いられているMPEGコーデックに焦点を絞り、セキュア化のアルゴリズム検討を行った。MPEG符号データのうち、DC係数およびAC係数に対する暗号手法として、それぞれDCEA(DC Coefficient Encryption Algorithm)法、Event Shuffle法を考案した。DCEAは、MPEG符号の中で最も重要なDC係数に対し、シャッフルとDEC暗号の組み合わせによりセキュア化を図る手法であり、Event Shuffleは、AC係数に対しVLC処理する際に、イベントレベルでシャッフルすることにより符号化効率を落とさずセキュア化が可能となる手法である。評価により、符号量やハードウェアのオーバーヘッドを極力抑えた中で動画像を効率よく保護できることを確認した。本成果は、IEICE Trans. Fundamentals(2006年1月)等に採択された。
また、独自低電力画像圧縮方式に基づくハードウェア化の検討や、次世代の画像圧縮方式として、普及が望まれるH.264エンコーダーのハードウェア化の検討に着手し、LSI開発を行った。H.264の動き予測処理エンジンに関する成果は、ISSCC2006等に採択された。さらに暗号LSI実現の際に重要となる実装攻撃対処法への検討にも着手した。両者の成果を効果的に融合させて、今後、独自画像圧縮方式及びH.264のセキュアLSI化の実現へと発展させていく予定である。