表題番号:2005B-369
日付:2006/02/26
研究課題広域に超分散したサーバを連合するハイパーネットワークの研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 大学院情報生産システム研究科 | 教授 | 小柳 恵一 |
- 研究成果概要
- 1987年、Bill AtkinsonがHyperCardを制作した。これはマシンとユーザの対話を柔軟にし、コンポーネントの組み合わせで容易にプログラムが作成できるツールであった。本研究では、この発想を、ネットワークを介したマシン同士の対話に拡張する。マシン同士の緩い結合である連携を可能とすることで、ユーザ参加型で容易に分散プログラムを開発できるハイパーネットワーク技術を明確化する。具体的には、従来のトップダウンで複雑なプロトコルを厳密に定義する方法ではなく、簡易なプロトコルのみ定義しておき、複雑なプロトコルを提供する応用プロトコルは、簡易なプロトコルを実現するソフトウェアやコンポーネントの開発時にそれらを活用してスパイラルに開発可能な環境を提供するハイパーネットワークを実現する。ハイパーネットワーク上でスクリプトを記述し、それらコンポーネントを結合することで複雑なプロトコルを実現する分散協調プログラムを安全かつ効率に開発できる技術を明確化する。本研究では、課題である①Decentralizedな認証、アクセス許可方式 ②分散協調用スクリプト言語の基本設計 ③分散コンポーネント化技術、の三点を明確化する。本研究の特色は、ソフトウェア開発を複雑にする厳密なプロトコル定義などを極力排し、分散ソフトウェアを簡便にスクラッチビルドできる基盤を目指すことである。簡易なプロトコルによって、多様な応用ソフトウェアを簡便に連合させる技術はこれまでになく、新規性がある。本研究の意義として、連合による高機能化と、コンポーネント再利用による開発効率の向上の二点がある。第一点では、企業メッセージングシステム同士を結合したセキュアメールシステム、会社を超えたプロジェクトの管理に利用できるグループウェアなど、組織を超えて連携する高機能応用ソフトウェアを簡便に実装する基盤とすることができる。第二点は、認証、管理、監査、ログ、バックアップ、オブジェクト永続化などの基本機能をコンポーネントとして実装することでウェブアプリケーションの開発を容易にすることである。WikiWikiに近いインタフェースで容易にインタフェースとロジックを記述できるプラットフォームを実装する。SmalltalkやHyperCardのような優れたプログラミングプラットフォームを目指す。これらの機能を評価するためにまずは、ストリーミングサービスにターゲットを絞って実装を進めている。