表題番号:2005B-368 日付:2006/02/26
研究課題超広域分散環境におけるセキュアなコラボレーションプラットフォーム構築技術
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 教授 小柳 恵一
研究成果概要
社会のインフラとしての位置づけが明確になってきたインターネットではあるが、技術的には多くの問題を抱えている。その1つがセキュアな環境の確立である。本研究は、ユビキタス時代に必須となる超広域分散環境におけるセキュアなコラボレーションプラットフォームの構築技術を明らかにするものである。以下、その主要点を示す。現在、オープンなインターネット空間を安全かつ安心して活用するためにファイアウォールなどによりそれぞれの組織やグループ、あるいは家庭などの単位でセキュアな領域を確保している。しかし、今後のユビキタス時代を考えると、その様な物理的に固定的な単位でのセキュアな空間の構築方法では不十分である。例えばビジネスと組織構成とは必ずしも一致していないため不合理が生じている。本研究では、多様なサービスの出現と組織内からの情報の流出などを防止するために、ビジネスなどのサービスを構成する個々のリソース単位(ユーザ、PCなどの提供可能なリソース:Peerと呼ぶ)でセキュアなコラボレーション空間をダイナミックかつPeerが主体になって構築可能なプラットフォーム技術を確立する。また、それらPeerがグローバルに移動し、帰属するコラボレーション空間にいつでも、どこでも自由に参加する場合も考慮する。従って、従来のIPレベルの論理空間ではなく、アプリケーションレベルのネットワーク空間(オーバレイネットワークと呼ぶ)でのセキュアなコラボレーションを可能とする技術を明確にする。同時に、既存のデータベースなどを1つのPeerとして動作可能なエージェントを提供し、本研究が提供する技術によるオーバレイネットワークを駆使したセキュアなコラボレーション空間に組み込むことにより、従来資産を継承した形で実現可能なプラットフォームを提供する。これにより既存資産の活用が図れる。尚、本研究では、理論的な新規性はもとより、実環境を常に意識した使えるシステムの提案を目指したい。研究成果については国際会議等で世に問い、そこで得られる知見を元にさらなるブラッシュアップをかけた上で論文化と実装を進めている。