表題番号:2005B-366 日付:2006/03/24
研究課題複数走査を用いた画像圧縮および画像検索技術の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 教授 鎌田 清一郎
研究成果概要
遠隔監視,遠隔医療などにおいて,画像の圧縮伝送・蓄積に関する研究開発が社会的なニーズとともに益々重要となっている.例えば,遠隔監視では,セキュリティ対象画像を24時間圧縮伝送し,記憶装置に大量の圧縮データを蓄積させている.しかし,現状では,国際標準化方式である Motion JPEG,あるいは MPEG などに頼っており,(a)DCT,ウェーブレット変換等の画像変換を利用した低域周波数通過型の圧縮方式であるために画質がぼけてしまうという問題,(b)検索したい人物画像を蓄積データの中から高速に検索できない問題,(c)圧縮データフォーマットが公開されているための情報漏洩の問題,など大きな問題が指摘されている.本研究では,このような遠隔監視あるいは遠隔医療等への応用を目的として,複数の画像走査を利用した,画像変換を行わない高効率な画像圧縮技術と,蓄積した圧縮データから高速に類似画像等の検索を行う画像検索技術を開発した.具体的な成果は,次の通りである.
(1) 画像上の各部分領域を圧縮に適した走査方法で走査し,エッジを保存するような画質明瞭性に優れた新たな圧縮技術を開発し,前述の国際標準化方式と比較した定量的評価によって,本開発手法の画質明瞭性を明らかにした. 本手法は,独自圧縮方式であるため,圧縮データフォーマットを公開しなければ情報漏洩の問題は解決できる.(2) 蓄積した膨大な圧縮データからカラーヒストグラムに基づいた画像照合を行い,人物等の類似画像を高速に検索する画像検索技術を開発し,すべての画像の画素単位での類似検索について,その検索効率を明らかにした.(3) 画像圧縮技術および画像検索技術を組み合わせたシステム全体をFPGA上に作成し,本技術のハードウェア規模を明らかにした.