表題番号:2005B-365 日付:2006/03/24
研究課題幾何イメージ思考のための支援ツールの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 教授 鎌田 清一郎
研究成果概要
学生の大半が空間次元拡張をなかなかイメージできないのが現状である。画像処理研究の道具として使っている空間充填曲線(space filling curve、日本ではペアノ曲線とよく呼ばれる)は、曲線による次元拡張の例を示す最もよい道具である。これは、簡単なパターンの回転、縮小、平行移動などの写像を使って興味深い幾何模様が描けるという特長がある。このような現状から、約10年前から自らが翻訳した「空間充填曲線とフラクタル」のテキスト(シュプリンガー・フェアラークから1998年に出版)を使用して、学生に情報数学教育を行っている。図を使うことはイメージを膨らます最もよい方法だと言われるが、空間次元の拡張も同様に思考能力を向上させる重要なテーマである。本研究では、空間充填曲線の生成を基礎として幾何イメージの思考能力を高めるための支援ツールの開発を行った。ペアノ、ヒルベルト、シェルピンスキー、ムーアなどの大数学者が発見した空間充填曲線を使って、2次元平面での生成方法をグラフィックスでわかりやすい教材コンテンツを作成した。次に、これらの曲線を3次元に拡張し、3次元空間における様々な空間充填曲線の模型を作り、3次元立体視表示ソフトとコンピュータグラフィックスを使って2次元から3次元への幾何イメージを思考訓練させるコンテンツを作成した。さらに、n次元空間(n≧4)に拡張したときに幾何図形の認識理解を助ける表示方法を検討した。ただし、表示装置は2次元あるいは3次元の表示系であるため、表示方法は、幾何図形を2次元平面あるいは3次元空間への投影、あるいは、2次元あるいは3次元断面の生成を基本としたものである。