表題番号:2005B-364 日付:2006/03/25
研究課題微生物を利用した環境制御技術の基礎研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 教授 大貝 晴俊
研究成果概要
 これまでの研究では使用済み紙おむつの微生物による分解について検討し、杉チップ由来微生物群および市販セルラーゼによるセルロースの分解、金属イオンによる高分子吸収剤の分解の研究を行ってきた。しかし、微生物と処理物との接触面が小さく、また分解できないプラスチックの残渣の回収が困難であることから、新たな視点からの処理アプローチを検討する。そこでは、新たにセルロース分解活性を持つ微生物群を含む液体培地での分解処理を検討した。
 本研究では液体培地処理を想定した微生物によるセルロース分解活性の基礎的な研究を行い、セルロース分解に最適な条件の決定とその処理性能を把握することを目的とした。
まず、土壌サンプルから有用微生物の選定を試みた。サンプルは高知県大正町および窪川町でサンプリングされたものを用い、セルロース培地にて48時間培養後セルラーゼ活性をDNS 法で測定した。結果、No.30から単離された微生物に可溶性セルロース(CMC:カルボキシメチルセルロース)に対する非常に高いセルラーゼ活性が認められた。この微生物の有用性について検討するため、異なるセルロース(Avicel、CMC、Avicel+CMC、濾紙)におけるセルロース分解活性DNS法で測定した。しかし、Avicel+CMCにおいては高い活性を示したものの、濾紙についてはまったく活性を示さなかった(0mg/ml/h)。微生物は微量金属の添加により、著しい酵素生産の向上を示すことがあることが知られている。そこで、セルロース分解細菌として知られているThermobifida fusucaの培養培地に用いられている微量金属をセルロース培地に添加し、同様にして活性を測った。その結果、濾紙におけるセルラーゼ活性が認められた(0.05mg/ml/h)。最後に、実際の紙おむつ本供試菌株の有用性について実際の紙おむつセルロースの分解試験を行ったところ、分解が認められた。
液体培地による廃棄物分解処理の具体的な装置イメージの検討を行い、概要図にまとめた。